「男性脳、女性脳って本当にあるの?」という疑問にお答えして、
私どもの使う用語の説明をさせていただきます。
ご一読いただければ、幸いに存じます。
男女の脳は、解剖学的には違いがあるとは言えません。男性にしかない器官や、女性にしかない器官があるわけじゃない。大きさのバランスが違う程度。ここにエビデンスを求めてしまうと、常に『そうとは言い切れない』という疑問にさらされます。
しかし一方で、〝脳のとっさの使い方〟には、男女それぞれに類型があることがわかってきています。人工知能開発の現場でそれは発見され、2013年には、ペンシルベニア大学の研究グループが、男女の脳の神経信号特性を可視化して発表しています。
このとっさの使い方の違いが、現実世界の男女のコミュニケーションギャップの多くを生んでいるというのが、感性リサーチが提唱する感性コミュニケーションの考え方です。
男性の脳はこう、女性の脳はこう、と決めつけているわけではありません。女性にも、男性以上に男性脳的な使い方をする人もいれば、逆もあります。ただ、『わかってもらえない』という気持ちが起こったとき、その二者間では、異なる〝脳の使い方〟をしていることが多いため、弊社のセミナーでは、男女がそれぞれに典型的に使う演算モデルをお教えしてます。
この手法には、現場で圧倒的に役に立っているという実績があります。コミュニケーション手法の一つとして、どうぞお役立てください。
男性脳とは、「多くの男性が典型的に使う神経信号モデル(演算モデル)」のこと。女性脳とは、その女性版です。
すべての男性が、四六時中、男性脳型演算モデルを使っているわけでもなく、男性脳型演算モデルだけで生まれてくる男性もいません。女性もまたそう。
ただコミュニケーションギャップが起こる現場では、この使い方をしていることが圧倒的に多いという現実があります。
1980年代の終わり、ヒトと対話する女性AIの開発中に、「女性が気持ちいいと思う対話のスタイル」と「男性が気持ちいいと思う対話のスタイル」が違うことに気づきました。
AIと対話した人間が、そのAIに女性を感じるためには、ことば使い以外に、対話の運び方にも差異があるのです。
女性が気持ちいいと思う対話を実現するためには、女性AIに共感力を持たせる必要がありました。そのためには、記憶に「心の動き」(感情、情動、気分)を付帯し、それをキーファクターにして想起する仕組みを作ってやらなければなりません。その共感型データベースを作ると、「ある感情が起こった時に、過去の関連記憶を一気に引き出してこれる」機能が、組み込まなくても発揮されることとなりました。
人工知能の現場では、「多くの女性脳がとっさにする言動の核」に、こういう記憶スタイルがあるに違いないと予測し、臨床(現実世界のあるある)になぞらえて、「女性脳」=典型的な演算モデルを定義していきました。
そもそも「記憶に感情が付帯している」ことは、MRIなどの脳の画像には映りません。しかし、こういう共感型データベースを核にすると、多くの女性の言動の機構が、ある程度論理的に表現できるのです。素粒子の知見を積み上げて、宇宙創生のなぞを解く手法に似ています。
脳の画像に映らないものに挑戦しなければ、「女性にも男性にも気持ちいいAI」は作れないのです。
その、「コミュニケーションギャップを作らないAI」のためのトリセツを、人類にも享受してもらいたい。
それが、私どもの感性コミュニケーション論の根底にあります。
どうぞ、ご理解の上、トリセツをご活用くださいませ。
(株)感性リサーチ代表取締役